材料物性論入門シリーズ

固体電子論から第一原理計算まで - 計算材料科学への道

📚 全6章構成 ⏱️ 学習時間: 180-220分 💻 コード例: 50個 📊 難易度: 中級〜上級

シリーズ概要

本シリーズは、材料の物性(電気的・磁気的・光学的・熱的性質)を理論的に理解し、第一原理計算で予測するための入門コースです。固体電子論の基礎から、DFT(密度汎関数理論)を使った実践的な物性計算まで、Pythonを使いながら学びます。

学習の流れ

graph LR A[第1章
固体電子論基礎] --> B[第2章
結晶場理論] B --> C[第3章
DFT入門] C --> D[第4章
電気・磁気物性] D --> E[第5章
光学・熱物性] E --> F[第6章
実践ワークフロー] style A fill:#f093fb,stroke:#f5576c,stroke-width:2px,color:#fff style B fill:#f093fb,stroke:#f5576c,stroke-width:2px,color:#fff style C fill:#f093fb,stroke:#f5576c,stroke-width:2px,color:#fff style D fill:#f093fb,stroke:#f5576c,stroke-width:2px,color:#fff style E fill:#f093fb,stroke:#f5576c,stroke-width:2px,color:#fff style F fill:#f093fb,stroke:#f5576c,stroke-width:2px,color:#fff

シリーズ構成

第1章
固体電子論の基礎

自由電子モデル、Fermiエネルギー、バンド構造の基礎を学びます。金属・半導体・絶縁体の違いを電子状態から理解し、Pythonでバンド図を描画します。

⏱️ 30-35分 💻 9コード例 📊 中級
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第2章
結晶場理論と電子状態

遷移金属化合物のd軌道分裂を学びます。結晶場分裂、Jahn-Teller効果、配位子場理論を理解し、Pythonで結晶場エネルギーを計算します。

⏱️ 25-30分 💻 8コード例 📊 中級
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第3章
第一原理計算入門(DFT基礎)

密度汎関数理論(DFT)の基礎を学びます。Hohenberg-Kohn定理、Kohn-Sham方程式、交換相関汎関数(LDA, GGA, hybrid)を理解し、ASE・Pymatgenを使って実践します。

⏱️ 35-40分 💻 12コード例 📊 上級
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第4章
電気的・磁気的性質

電気伝導(Drudeモデル)、Hall効果、磁性(強磁性・反強磁性)、スピン軌道相互作用を学びます。Pythonで磁気特性を計算し、可視化します。

⏱️ 30-35分 💻 9コード例 📊 中級〜上級
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第5章
光学的・熱的性質

光吸収、バンドギャップ、屈折率、フォノン、熱伝導、熱電特性を学びます。Pythonで光学スペクトルとフォノンDOSを計算・可視化します。

⏱️ 30-35分 💻 9コード例 📊 中級〜上級
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第6章
実践:物性計算ワークフロー

Si、GaN、Fe、BaTiO3を例に、構造最適化→DFT計算→物性解析の全ワークフローを実践します。収束テストからポスト処理まで、実践的なベストプラクティスを学びます。

⏱️ 40-45分 💻 10コード例 📊 上級
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学習目標

このシリーズを完了することで、以下のスキルと知識を習得できます:

基本理解

実践スキル

応用力

推奨学習パターン

パターン1: 初学者向け - 順序通り学習(7日間)

パターン2: 中級者向け - 集中学習(3日間)

パターン3: 実践重視 - DFT計算中心(1日間)

前提知識

分野 必要レベル 説明
量子力学 大学学部レベル 波動関数、Schrödinger方程式、演算子の基礎
固体物理 入門レベル 結晶構造、逆格子、ブリルアンゾーンの基本
材料科学 入門レベル 材料科学入門シリーズ修了が望ましい
Python 中級レベル NumPy、Matplotlib、クラス・関数の使用経験
Linux 基礎レベル ターミナル操作、シェルスクリプトの基本

使用するPythonライブラリとツール

このシリーズで使用する主要なライブラリとツール:

必須ライブラリ

計算材料科学ライブラリ

DFT計算ソフトウェア(解説のみ、実行は任意)

FAQ - よくある質問

Q1: 量子力学の知識が不十分でも大丈夫ですか?

基本的な量子力学(波動関数、固有値問題)の理解が望ましいですが、必要な概念は都度説明します。ただし、第3章のDFT部分は量子力学の知識があると理解が深まります。

Q2: DFT計算を実際に実行する必要がありますか?

理論の理解には必須ではありませんが、実際に手を動かすことで理解が格段に深まります。第6章では、ASE・Pymatgenを使った計算のセットアップ方法を学びます。VASP等の商用ソフトがない場合は、入力ファイルの作成までを学習できます。

Q3: このシリーズでMaterials Informaticsにどう活かせますか?

MIでは材料物性の予測が重要です。第一原理計算は物性データベース構築の基盤となります。このシリーズで学ぶ物性計算ワークフローは、MIの「記述子設計」や「ハイスループット計算」に直結します。

Q4: VASPなしでも学習できますか?

はい、できます。VASPの入力例は提供しますが、コード実行は任意です。ASE・Pymatgenを使った構造操作、バンド図・DOSのプロットなど、VASPなしでも多くの実践的スキルを習得できます。

Q5: どのくらいの時間がかかりますか?

全6章を通して180-220分が目安です。第3章(DFT基礎)と第6章(実践)は特に時間がかかります。コードを実行しながら学ぶ場合は、さらに時間が必要です。自分のペースで進めてください。

学習のポイント

次のステップ

このシリーズを完了した後、以下の発展学習をお勧めします:

免責事項