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ロボティクス実験自動化入門

Robotic Laboratory Automation for Materials Discovery

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シリーズ概要

材料科学における実験の自動化は、研究開発の加速に不可欠な技術です。本シリーズでは、ロボットアームや自動液体ハンドリングシステムを活用した自律実験、ベイズ最適化と組み合わせたクローズドループ最適化、クラウドラボによる遠隔実験まで、実践的な技術を学びます。

従来の手動実験では1材料あたり数時間から1日かかっていた作業が、自動化により数分から数十分に短縮され、24時間稼働により生産性が劇的に向上します。Berkeley A-Lab、RoboRXN、Emerald Cloud Labなどの先端事例を通じて、材料研究の未来を探ります。

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学習目標

本シリーズを学習することで、以下のスキルと知識を習得できます:

  1. 実験自動化の基礎: ロボットアーム制御、液体・固体ハンドリング、センサー統合の理解
  2. クローズドループ最適化: ベイズ最適化とロボット実験の統合、自律的な材料探索
  3. ロボティクスプログラミング: PyLabRobot、OpenTrons Python APIの実践的活用
  4. クラウドラボ活用: Emerald Cloud Labなどの遠隔実験プラットフォームの使い方
  5. 実世界応用: 触媒スクリーニング、量子ドット合成、電池材料探索への適用

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対象読者

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前提知識

必須知識

推奨知識

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シリーズ構成

第1章: 材料実験自動化の必要性と現状

学習時間: 20-25分 | コード例: 3-4個 到達目標:

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第2章: ロボティクス実験の基礎

学習時間: 25-30分 | コード例: 5-6個 到達目標:

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第3章: クローズドループ最適化

学習時間: 25-30分 | コード例: 6-7個 到達目標:

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第4章: クラウドラボと遠隔実験

学習時間: 20-25分 | コード例: 4-5個 到達目標:

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第5章: 実世界応用とキャリア

学習時間: 15-20分 | コード例: 2-3個 到達目標:

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学習の進め方

推奨学習フロー

flowchart LR A[第1章\n自動化の必要性] --> B[第2章\nロボティクス基礎] B --> C[第3章\nクローズドループ] C --> D[第4章\nクラウドラボ] D --> E[第5章\n実世界応用] style A fill:#e1f5ff style B fill:#fff4e1 style C fill:#ffe1e1 style D fill:#f0e1ff style E fill:#e1ffe1

学習時間の目安

実践のポイント

  1. シミュレーションから開始: 実機がない場合、PyBulletなどの仮想環境で学習
  2. 小さく始める: 単純な液体ハンドリングから開始し、段階的に複雑化
  3. 既存プラットフォーム活用: OpenTrons OT-2など、オープンなプラットフォームを使用
  4. クラウドラボ検討: 初期投資を抑えたい場合、Emerald Cloud Labなどを利用

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使用ツール・ライブラリ

主要ライブラリ

仮想環境・シミュレーション

クラウドプラットフォーム

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環境構築

Python環境のセットアップ

仮想環境作成(推奨)

python -m venv robotic-lab-env

source robotic-lab-env/bin/activate # macOS/Linux

robotic-lab-env\Scripts\activate # Windows

必要ライブラリのインストール

pip install pylablib opentrons scikit-optimize botorch pandas requests matplotlib seaborn jupyter

シミュレーション用(オプション)

pip install pybullet gym

OpenTrons OT-2のセットアップ(実機使用の場合)

OpenTrons App(GUI)のダウンロード

https://opentrons.com/ot-app/

Python APIのインストール

pip install opentrons

エミュレータの起動(実機なしで学習可能)

opentrons_simulate protocol.py

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関連シリーズ

本シリーズは以下のコンテンツと関連しています:

前提シリーズ(推奨)

発展的シリーズ

並行学習推奨

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学習リソース

公式ドキュメント

論文・書籍

オンラインコース

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FAQ(よくある質問)

Q1: ロボット実機がなくても学習できますか?

A: はい、可能です。OpenTrons Emulator、PyBulletなどのシミュレーション環境で学習できます。また、クラウドラボを使えば、実機を持たずに実験できます。

Q2: どのくらいの初期投資が必要ですか?

A: OpenTrons OT-2は約10,000ドルから。クラウドラボ(Emerald Cloud Lab)なら初期投資ゼロで従量課金。大学・研究機関なら既存設備の自動化改造から始めることも可能です。

Q3: プログラミング経験が少なくても大丈夫?

A: Python基礎(変数、関数、ループ)があれば十分です。OpenTrons APIは非常に直感的で、数時間で基本プロトコルを書けるようになります。

Q4: 自分の研究分野に適用できますか?

A: 液体試料を扱う実験(合成、評価、分析)なら高確率で適用可能です。固体試料の場合、粉末ディスペンサーなどの追加装置が必要ですが、技術的には可能です。

Q5: 安全性は大丈夫ですか?

A: 本シリーズでは安全設計とエラーハンドリングを重視します。緊急停止機能、異常検知、フェイルセーフ設計を必ず実装します。

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コミュニティ・サポート

ディスカッション

貢献

本コンテンツはオープンソースです。誤りの指摘、改善提案、コード例の追加など、GitHub Pull Requestを歓迎します。

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ライセンス

本コンテンツは CC BY 4.0(クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際)ライセンスの下で提供されています。

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更新履歴

| バージョン | 日付 | 更新内容 |

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| 1.0 | 2025-10-17 | 初版公開(全5章) |

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次のステップ

準備ができたら、第1章: 材料実験自動化の必要性と現状から学習を始めましょう!

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著者: 橋本佑介(東北大学) 作成日: 2025年10月17日 更新日: 2025年10月17日

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