品質管理・品質保証入門シリーズ v1.0
TQM、SPC、Six Sigmaの基礎から実践まで - 完全実践ガイド
シリーズ概要
このシリーズは、プロセス産業における品質管理・品質保証の基礎から実践まで、段階的に学べる全5章構成の教育コンテンツです。TQMの基本概念、統計的プロセス管理(SPC)、Six Sigma手法、ISO 9001品質マネジメントシステム、そしてデータ駆動型品質改善まで、包括的にカバーします。
特徴:
- ✅ 実践重視: 40個の実行可能なPythonコード例
- ✅ 体系的構成: 基礎から応用まで段階的に学べる5章構成
- ✅ 産業応用: 化学プラント、製造プロセスの品質管理実例
- ✅ 最新技術: Python統計解析、機械学習による品質予測
総学習時間: 120-150分(コード実行と演習を含む)
学習の進め方
推奨学習順序
初学者の方(品質管理を初めて学ぶ):
- 第1章 → 第2章 → 第3章 → 第4章 → 第5章
- 所要時間: 120-150分
製造・品質管理経験者(基礎知識あり):
- 第1章(軽く確認) → 第2章 → 第3章 → 第5章
- 所要時間: 90-110分
データサイエンティスト(統計知識あり):
- 第2章 → 第3章 → 第5章
- 所要時間: 60-80分
各章の詳細
第1章:品質管理の基礎とTQM
学習内容
- 品質管理の基本概念
- 品質の定義と品質管理の歴史
- QC、QA、QMSの違い
- プロセス能力指数(Cp、Cpk)の計算
- 品質コストの分類と分析
- TQM(全社的品質管理)
- TQMの8原則
- PDCAサイクルの実装
- パレート分析(80-20ルール)
- 特性要因図(フィッシュボーン図)
- 品質改善手法
- 5回のなぜ(5 Why分析)
- 不良率計算と信頼区間
- 品質メトリクスダッシュボード
- 統計的品質評価の基礎
学習目標
- ✅ 品質管理の基本概念を理解する
- ✅ TQMの8原則を実践できる
- ✅ プロセス能力指数(Cp、Cpk)を計算できる
- ✅ パレート分析で重要品質問題を特定できる
- ✅ PDCAサイクルで継続的改善を実施できる
第2章:統計的プロセス管理(SPC)
学習内容
- 管理図の基礎
- X-bar管理図とR管理図
- p管理図(不良率管理)
- EWMA管理図(指数加重移動平均)
- CUSUM管理図(累積和管理図)
- プロセス安定性評価
- 管理限界線(UCL、LCL)の計算
- 特殊原因変動の検出
- プロセス能力分析(Pp、Ppk)
- Western Electric規則
- 化学プロセスへの適用
- 製品純度の管理図
- 反応温度のプロセス管理
- バッチプロセスの品質管理
学習目標
- ✅ 各種管理図を作成・解釈できる
- ✅ プロセス安定性を統計的に評価できる
- ✅ 管理限界線を正しく計算できる
- ✅ 特殊原因変動を検出できる
- ✅ 化学プロセスにSPCを適用できる
第2章を読む →(準備中)
第3章:Six Sigma手法とDMAIC
学習内容
- Six Sigmaの基礎
- Six Sigmaとは何か(3.4 DPMO)
- シグマレベルの計算
- DPMOとプロセス能力の関係
- Six Sigmaベルト制度
- DMAICサイクル
- Define(定義): プロジェクト憲章、VOC分析
- Measure(測定): データ収集計画、測定システム分析
- Analyze(分析): 根本原因分析、仮説検定
- Improve(改善): 実験計画法(DOE)
- Control(管理): 標準化、管理計画
- 統計手法の活用
- t検定、F検定、カイ二乗検定
- 回帰分析とANOVA
- タグチメソッド
学習目標
- ✅ Six Sigmaレベルを計算・評価できる
- ✅ DMAICサイクルを実践できる
- ✅ 統計的仮説検定を活用できる
- ✅ 実験計画法でプロセス最適化できる
- ✅ Six Sigmaプロジェクトを管理できる
第3章を読む →(準備中)
第4章:ISO 9001と品質マネジメントシステム
学習内容
- ISO 9001の基礎
- ISO 9001:2015の7原則
- プロセスアプローチ
- リスクベース思考
- 文書管理と記録管理
- 内部監査と是正措置
- 内部監査計画の策定
- チェックリストの作成
- 不適合管理
- 是正措置・予防措置(CAPA)
- QMSの運用とパフォーマンス評価
- KPI設定とモニタリング
- マネジメントレビュー
- 継続的改善の仕組み
学習目標
- ✅ ISO 9001の要求事項を理解する
- ✅ 内部監査を計画・実施できる
- ✅ 不適合管理とCAPAを実践できる
- ✅ QMS KPIを設定・モニタリングできる
- ✅ プロセスアプローチを実装できる
第4章を読む →(準備中)
第5章:データ駆動型品質改善
学習内容
- 機械学習による品質予測
- 品質予測モデルの構築
- 不良品検出モデル(分類問題)
- プロセスパラメータと品質の相関分析
- 特徴量重要度分析
- 異常検知と早期警告
- IsolationForestによる異常検知
- Autoencoderによるプロセス異常検知
- 時系列異常検知(Prophet、STL分解)
- アラートシステムの設計
- 品質ビッグデータ分析
- クラスタリングによる不良パターン分類
- 主成分分析(PCA)による品質特性要約
- 因果推論と品質改善効果の検証
- ダッシュボード構築とリアルタイム監視
学習目標
- ✅ 機械学習で品質予測モデルを構築できる
- ✅ 異常検知アルゴリズムを実装できる
- ✅ ビッグデータ分析で品質改善機会を発見できる
- ✅ リアルタイム品質監視システムを設計できる
- ✅ データ駆動型品質改善を実践できる
第5章を読む →(準備中)
全体の学習成果
このシリーズを完了すると、以下のスキルと知識を習得できます:
知識レベル(Understanding)
- ✅ 品質管理・品質保証の基本概念を説明できる
- ✅ TQM、SPC、Six Sigmaの理論を理解している
- ✅ ISO 9001品質マネジメントシステムを理解している
- ✅ 統計的品質管理手法を知っている
- ✅ データ駆動型品質改善のアプローチを理解している
実践スキル(Doing)
- ✅ Pythonで品質分析・管理図を作成できる
- ✅ プロセス能力指数(Cp、Cpk、Pp、Ppk)を計算できる
- ✅ SPC管理図で異常を検出できる
- ✅ Six Sigma DMAICサイクルを実施できる
- ✅ 内部監査とCAPA管理を実践できる
- ✅ 機械学習で品質予測・異常検知を実装できる
応用力(Applying)
- ✅ 化学プロセスの品質管理計画を策定できる
- ✅ 品質改善プロジェクトを設計・実行できる
- ✅ データ分析で品質課題の根本原因を特定できる
- ✅ 品質エンジニアとして品質管理業務に対応できる
FAQ(よくある質問)
Q1: 統計学の予備知識はどの程度必要ですか?
A: 基礎統計学(平均、標準偏差、正規分布)の知識があれば十分です。必要な統計手法は各章で丁寧に解説し、Pythonコード例とともに実践的に学べます。
Q2: このシリーズとプロセス制御シリーズの違いは何ですか?
A: プロセス制御シリーズは「リアルタイム制御と自動化」に焦点を当てるのに対し、本シリーズは「品質評価・管理・改善」に焦点を当てます。両者を組み合わせることで、品質を保証しながら最適運転を実現できます。
Q3: 実際の製造現場に適用できますか?
A: はい。すべてのコード例は実務適用を想定して設計されています。ただし、実装時には現場の安全規則、データセキュリティ、規制要件を遵守してください。
Q4: どのPythonライブラリが必要ですか?
A: 主にNumPy、Pandas、Matplotlib、Seaborn、SciPy、scikit-learnを使用します。SPCにはstatistics、品質予測には機械学習ライブラリを活用します。
Q5: 次に何を学ぶべきですか?
A: 以下のトピックを推奨します:
- 実験計画法(DOE): 効率的な品質改善実験
- 信頼性工学: 故障率分析、FMEA、FTA
- 製造データ分析: ビッグデータ、IoT、デジタルツイン
- リーン生産方式: ムダ排除と効率化
次のステップ
シリーズ完了後の推奨アクション
Immediate(1週間以内):
1. ✅ 自社の品質データでプロセス能力分析を実施
2. ✅ パレート図で重要品質問題を特定
3. ✅ 管理図を作成してプロセス安定性を評価
Short-term(1-3ヶ月):
1. ✅ Six Sigma改善プロジェクトを立ち上げ
2. ✅ SPC管理図を日常業務に導入
3. ✅ 品質予測モデルを構築
4. ✅ ISO 9001準拠の品質マニュアルを整備
Long-term(6ヶ月以上):
1. ✅ 全社的品質管理(TQM)システムの構築
2. ✅ データ駆動型品質改善文化の醸成
3. ✅ 品質エンジニアリング専門家としてのキャリア構築
4. ✅ 品質管理学会での発表や論文執筆
フィードバックとサポート
このシリーズについて
このシリーズは、東北大学 Dr. Yusuke Hashimotoのもと、PI Knowledge Hubプロジェクトの一環として作成されました。
作成日: 2025年10月26日
バージョン: 1.0
フィードバックをお待ちしています
このシリーズを改善するため、皆様のフィードバックをお待ちしています:
- 誤字・脱字・技術的誤り: GitHubリポジトリのIssueで報告してください
- 改善提案: 新しいトピック、追加して欲しいコード例等
- 質問: 理解が難しかった部分、追加説明が欲しい箇所
- 成功事例: このシリーズで学んだことを使ったプロジェクト
連絡先: yusuke.hashimoto.b8@tohoku.ac.jp
ライセンスと利用規約
このシリーズは CC BY 4.0(Creative Commons Attribution 4.0 International)ライセンスのもとで公開されています。
可能なこと:
- ✅ 自由な閲覧・ダウンロード
- ✅ 教育目的での利用(授業、勉強会等)
- ✅ 改変・二次創作(翻訳、要約等)
条件:
- 📌 著者のクレジット表示が必要
- 📌 改変した場合はその旨を明記
- 📌 商業利用の場合は事前に連絡
詳細: CC BY 4.0ライセンス全文
さあ、始めましょう!
準備はできましたか? 第1章から始めて、品質管理・品質保証の世界への旅を始めましょう!
更新履歴
- 2025-10-26: v1.0 初版公開
あなたの品質管理学習の旅はここから始まります!