寄附研究部門:ナノ材料プロセスデータ科学
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研究目的

本研究では、データサイエンスと材料プロセス工学を融合することで、 「材料プロセスデータ科学」という学際的学問分野の創成を目的としています。

具体的には、以下の研究を推進します:

  • ナノ粒子合成に関する材料・プロセス連携データベースを網羅的に構築する
  • 構築したデータベースから材料の構造・機能を決定するプロセス特性因子を抽出する
  • 高性能ナノ材料創製の指針となるマテリアルズプロセスインフォマティクスを構築する

これにより、次世代ナノ材料開発の加速と材料プロセス工学の革新を実現します。

現在の成果

研究目的に対して現時点で到達している地点を、装置・論文・観測結果と次の課題の対応で整理しています(2026年10月時点)。経緯はニュース、書誌は各論文をご覧ください。

ロボットアーム3台と電動ピペットによる実験自動化システム
ロボットアームと電動ピペットによる自動合成システム

低コスト自動合成装置によるMOF粒径制御

約20万円のロボットアームと電動ピペットを組み合わせた2液混合システムで、代表的なMOFであるZIF-8を、注入量・注入速度・温度・質量を記録しながら合成しています。

観測結果
注入時間5秒・2秒・0.5秒のいずれでもZIF-8の生成をXRDで確認。比較した条件の範囲では、注入が遅いほど粒径が大きくなる傾向をDLSで観測しました。
関連論文・発表
Y. Wang, H. Liu, Y. Hashimoto, K. Iwase, H. Li, T. Tomai, Chem. Sci. 17, 15034 (2026) DOI/化学工学会 第57回秋季大会(2026年9月)
次の課題
蓄積した操作データと物性を結び付け、機械学習による物性予測と合成条件の最適化へ進めること。

実験・計算データを統合したAI材料マップ

グラフ機械学習を用いて実験データと理論計算データを統合し、材料の構造類似性を2次元のマップとして可視化しました。

観測結果
メッセージパッシング型ニューラルネットワークが材料の構造的複雑さを捉えてマップ上の配置を整える一方、物性予測精度の向上には必ずしも結びつかないことを示しました。
論文・広報
Y. Hashimoto, X. Jia, H. Li, T. Tomai, APL Mach. Learn. 3, 036104 (2025) DOI/東北大学プレスリリース(2025年7月31日)
次の課題
研究目的に掲げる材料・プロセス連携データベースと結び付け、合成条件まで含めたマップへ拡張すること。
Agentic AI Summit 2026 でのポスター発表
Agentic AI Summit 2026(UC Berkeley)でのポスター発表

マルチエージェントAIによる実験データベースの自律分析

熱電材料の実験データベースStarrydata2を対象に、データ抽出・機械学習・SHAP分析・知識ベース構築・レビューを分担する3層9体のAIエージェントが分析を繰り返すシステムをClaude Code上に構築しました。

観測結果
100テーマ・417プロジェクトの実行で約8,110件の知識項目を自動生成。知識ベースのネットワーク解析と、テーマ数・サイクル数を変えた知識マップの比較から、サイクル間の知識継承により探索が関連材料へ広がり深化することを確認しました。
発表
データ駆動型材料科学研究会(2026年7月)/Agentic AI Summit 2026(2026年8月)/応用物理学会(2026年9月)
次の課題
生成した知識の定量的な評価、計算コストとトークン量の制約、ハルシネーション対策、AIが直接扱える研究データベースの整備。

メンバー

笘居 高明教授の写真

笘居 高明

教授

学際科学フロンティア研究所・多元物質科学研究所

橋本 佑介特任准教授の写真

橋本 佑介

特任准教授

学際科学フロンティア研究所

岩瀬 和至准教授の写真

岩瀬 和至

准教授

多元物質科学研究所

👤

劉松

客員准教授

学際科学フロンティア研究所

最新ニュース

2026年9月14日

化学工学会 第57回秋季大会にて研究発表

橋本特任准教授が化学工学会 第57回秋季大会(広島大学 東広島キャンパス)のセッション「データ駆動型研究開発の最先端」にて口頭発表を行いました。

発表タイトル:ロボットアームと電動ピペットを用いたMOF自動合成システムの構築

本発表では、電動ピペットとロボットアームを組み合わせた2液混合自動実験システムを用いて、ZIF-8合成における原料溶液の注入速度と粒径の関係を系統的に評価し、合成条件の定量制御と再現性向上への展開を紹介しました。

大会公式サイト

2026年9月10日

第87回応用物理学会秋季学術講演会にて研究発表

橋本特任准教授が第87回応用物理学会秋季学術講演会(北海道大学 札幌キャンパス)にて口頭発表を行いました。

発表タイトル:マルチエージェントAIによる材料実験データベースからの自律的物性情報探索の拡張と深化

本発表では、熱電材料の実験データベース Starrydata2 を対象に、テーマ数とサイクル数を系統的に変化させた自律的データ分析を行い、知識を継承しながら複数テーマ・複数サイクルで実行することで、データベースに内在する物性知識の探索が拡張・深化することを知識マップの比較から示しました。

講演会公式サイト

2026年8月1日–2日

Agentic AI Summit 2026(UC Berkeley)にてポスター発表

橋本特任准教授が米国UC Berkeleyで開催されたAgentic AI Summit 2026にポスター発表として採択され、ポスターセッションとWelcome Receptionで発表しました。

発表タイトル:Autonomous Multi-Agent AI System for Thermoelectric Materials Research and Knowledge System Construction

本発表では、熱電材料の実験データベースを対象に複数のAIエージェントが協調して自律的にデータ分析を行い、知識ベースと熱電材料に特化したAIを構築するシステムを提案しました。

Agentic AI Summit 2026 公式サイト

2026年7月6日

データ駆動型材料科学研究会 2026年夏季年会にて研究発表

橋本特任准教授がデータ駆動型材料科学研究会 2026年夏季年会(東京科学大学 大岡山キャンパス)にて口頭発表を行いました。

発表タイトル:マルチエージェントAIシステムによる熱電材料研究の自動化と知識システム構築

本発表では、データ抽出・機械学習モデリング・SHAP 分析・知識ベース構築などを分担する3層9体のマルチエージェントAIを Claude Code 上で実装し、熱電材料の実験データベース Starrydata2 に対して長時間の自律的データ解析ループを実現したこと、得られた知識ベースのネットワーク解析から知識の深化と体系化が確認されたことを報告しました。

年会情報

2026年5月25日

第二回 研究へのAI活用勉強会を開催

学際科学フロンティア研究所 寄附研究部門「ナノ材料プロセスデータ科学」主催で、第二回 研究へのAI活用勉強会を開催しました。

講師:坂口 慶祐(教授・大学院情報科学研究科)

講演テーマ:AIが変える研究プロセスと実践例

対象:東北大学 教職員・学生(学内限定・対面開催)

開催内容はこちら

2026年2月20日

第一回 研究へのAI活用勉強会を開催

学際科学フロンティア研究所 寄附研究部門「ナノ材料プロセスデータ科学」主催で、研究活動における生成AIの活用方法を学ぶ第一回 研究へのAI活用勉強会を開催しました。

プログラム:開会挨拶 笘居高明(教授)、講演 西羽美(准教授)、参加者による1分プレゼン、交流会

対象:東北大学 教職員・学生(学内限定・対面開催)

開催報告はこちら

2025年11月10日

東京科学大学にて招待セミナーを実施

橋本特任准教授が東京科学大学の量子物理学・ナノサイエンスセミナーにて招待講演を行いました。

講演タイトル:AIとロボティクスが切り拓く新しい材料科学の入り口

本講演では、材料特性の実験データと計算データを機械学習によって統合した材料マップの開発、ロボットアーム・電動ピペット・3Dプリンタを用いた自動実験システムによるMOF合成の自動化、そして生成AIを活用したマルチエージェントシステムによる自律的なデータ分析手法について紹介しました。

アブストラクト(PDF)

2025年10月30日

IMPRES2025にてキーノートレクチャーを実施

橋本特任准教授がIMPRES2025(The 7th International Symposium on Innovative Materials and Processes in Energy Systems)(仙台国際センター)にてキーノートレクチャーを行いました。

講演タイトル:Mapping Thermoelectric Materials Using Machine Learning on Integrated Computational and Experimental Datasets

本講演では、機械学習を用いて計算データと実験データを統合し、熱電材料の新しいマッピング手法を開発したことについて発表しました。

IMPRES2025公式サイト

2025年10月30日

AI寺子屋プロジェクト:AIによる教科書執筆

研究へのAI活用の一環として、AIを用いた教科書執筆プロジェクト「AI寺子屋(AI Terakoya)」を開始しました。

材料科学に関わる5分野(マテリアルズ・インフォマティクス、プロセス・インフォマティクス、機械学習、材料科学、基礎)の教育コンテンツをAIで作成しています。

AI寺子屋:材料科学教科書プロジェクト

2025年9月

応用物理学会にて研究発表

橋本特任准教授が応用物理学会にて研究発表を行いました。

発表タイトル:材料構造類似度マップの材料プロセス探索への応用 / Application of a Material Structural Similarity Map to Materials Process Exploration

本発表では、材料の構造類似度を可視化し、効率的な材料プロセスの探索を実現する新しい手法について紹介しました。

2025年7月31日

APL Machine Learning誌に論文を発表

橋本特任准教授らの研究チームが、AIを用いた「材料マップ」の作成に関する論文を国際誌APL Machine Learningに発表しました。論文は2025年7月28日に公開され、7月31日に東北大学からプレスリリースを行いました。

本研究では、メッセージパッシング型グラフニューラルネットワークを用いて、実験データと理論計算データを統合した材料マップを開発。材料の構造類似性を視覚的に表現し、未知の高性能材料を迅速に抽出することが可能になりました。

論文詳細はこちら

2025年3月24日

スタンフォード大学にて招待セミナーを実施

橋本特任准教授がStanford UniversityのGLAM Special Seminarにて招待講演を行いました。

講演タイトル:Local and Global Mapping of Thermoelectric Materials Based on Computational and Experimental Datasets

本講演では、計算データと実験データに基づく熱電材料のローカルおよびグローバルマッピング手法について発表しました。機械学習を用いた材料マッピング技術により、熱電材料の構造-物性相関を可視化し、高性能材料の探索を効率化する新しいアプローチを紹介しました。

2024年12月11日

Robot Innovation Week 2024にて講演

橋本特任准教授がTechShare社の招待により、ロボットアームを使った実験自動化に関する講演を行いました。

講演では、研究室で開発している実験自動化システムの実例や、低コストで実現可能な自動化手法について紹介しました。

2024年11月1日

低コスト実験自動化装置の開発

約20万円のロボットアームと電動ピペットを組み合わせた自動実験装置の開発を進めています。

初号機では、ハイスループット混合システムを構築し、実験の効率化と再現性向上を実現しました。低コストで導入可能な実験自動化ソリューションとして、今後の展開が期待されます。

低コスト実験自動化装置の全体システム
ロボットアーム3台と電動ピペットによる実験自動化システム
自動混合システムで作成したグラデーション溶液
ハイスループット混合システムの成果物(グラデーション溶液)
2024年8月4日

設立記念シンポジウムを開催

学際科学フロンティア研究所内寄附研究部門設立記念シンポジウムを開催しました。

シンポジウムでは、本研究部門の設立趣旨や今後の研究方針について発表を行い、材料プロセスデータ科学という新しい学際的分野の創成に向けた議論を交わしました。また、産学連携の重要性を確認し、今後の共同研究の方向性について活発な意見交換が行われました。

2024年6月22日

ロボットアームによる精密制御技術の実証

ロボットアームを用いて東北大学ロゴの自動描画に成功しました。

この実験により、ロボットアームの精密制御技術が向上し、複雑な実験操作の自動化への応用可能性が実証されました。今後の実験自動化システムの高度化に向けた重要な成果となります。

プレスリリース・メディア掲載

📰 プレスリリース

2025年7月31日
AIを用いた「材料マップ」の作成に関する論文を国際誌APL Machine Learningに発表

橋本特任准教授らの研究チームが、メッセージパッシング型グラフニューラルネットワークを用いて、実験データと理論計算データを統合した材料マップを開発しました。この技術により、未知の高性能材料を迅速に抽出することが可能になり、新材料開発期間の短縮が期待されます。

📺 メディア掲載

日刊工業新聞
グラフニューラルネットワーク技術を活用した材料マップ開発に関する報道
リサーチャー
研究の学術的意義についての記事掲載

所在地・アクセス

📍 所在地・連絡先

所在地:
東北大学学際科学フロンティア研究所
〒980-8578 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6-3
Tel:022-795-5755
Fax:022-795-5756
共同研究・見学のご相談:橋本佑介 お問い合わせページ

🚇 地下鉄

青葉山駅(北出口)より徒歩4分

🚖 タクシー

仙台駅より約15分(約2,000円)